経済統計の使い方
統計初心者の社会人向けに、経済データの解説をしています。「まとめページ」をご覧くだされば、全体的な内容がわかると思います。
回帰分析から学ぶ計量経済学

【時系列分析】課題1 為替レートの予測

為替レートを予測してみましょう。為替レートはランダムウォークの可能性があ
るので、階差をとって推計します。階差をとった系列がAR( 1 )になるとして推定
します。
      $為替レート(階差)= \alpha + \beta × 為替レート1 期前(階差)$
 結果はどのようになったでしょうか。為替レートの予測の難しさがわかる結果だ
と思います。

経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。

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データ

対ドル円レートのデータは統計ダッシュボードからとることができます。以下を参考にしてください。

【経済統計】【統計ダッシュボード】統計ダッシュボードの使い方|金融指標を入手する さくら 分析には過去のデータが必要ですね。 かえで 金利、為替、株価のデータがまとめてとれる「統計ダッシュボード」というサイト...

オーム社のホームページからダウンロードできるデータと同じものは以下のファイルです。

推定結果

グラフは以下の通りです。

対ドル円レートをAR(自己回帰)モデルで推定してみましょう。被説明変数を対ドル円レート、説明変数を対ドル円レートの1期前にしたものです。

$Y_t=¥alpha+\beta Y_{t-1}+e_t$

エクセルでの推定結果は以下の通りです。

式で書くと、$Y_t=2.956+0.977Y_{t-1}+e_t$となります。$Y_{t-1}$に係る係数が1に近いですね。実際、単位根検定を行うと、「単位根がある」という帰無仮説が受容されます。

この推定式を使って予測値を作ることはできますが、単位根を持つ非定常系列は予測値の分散が非常に大きいので、予測が当たる保証はありません。

正しく推定するには定常系列にする必要があります。そこで階差をとって推計してみます。

$ \Delta Y_t=¥alpha+\beta \Delta Y_{t-1}+e_t$

推定結果は以下のようになります。1期前にかかる係数は有意ではないですし、自由度修正済み決定係数はマイナスです。この式を使って為替レートを予測するのは難しそうです。

時系列分析による予測は難しそうですが、金利や購買力平価などほかの変数を説明変数として使って回帰分析することはできます。これはまた別のテーマとしてお話します。

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