ドリフト付きランダムウォーク系列を2つ自作して、その2つを回帰してみましょう。
ドリフト付きランダムウォーク
ドリフト付きランダムウォークとは、ランダムウォークの式に定数項(ドリフト項)を付けたものです。時間が進むごとに、ドリフト項分増えるので、上方トレンドのある系列になります。
$X_t=\alpha + X_{t-1}+u_t$
データを生成する
ドリフト付きランダムウオークを作るには以下の3つが必要です。
- 初期値(t=0の値)
- ドリフト項の値
- $u_t$系列
初期値は適当な数字を入力すればよいです。オーム社のホームページのダウンロードファイルでは$X_t$の初期値を10、$Y_t$の初期値を20としています。ドリフト項の値は、両系列とも0.5です。
$u_t$については、平均ゼロ、標準偏差1の正規分布をする系列とします。まず、エクセルのRAND()関数で、乱数を発生させます。乱数とは、0から1の間の数値を等確率で不規則に発生させるものです。あくまでも例ですが、以下のような系列です。
0.44、0.80、0.90、0.75、0.34…
これを正規分布をする系列に変換するために、NORM.INV(確率、平均、標準偏差)関数を使います。確率のところに、上のRAND()関数を入れ、平均は0、標準偏差は1とします。以下の関数です。
=NORM.INV(RAND(),0,1)
これをエクセルシートの$u_t$のすべてのセルに入れると、$u_t$ができます。
グラフに描くと以下の系列(ランダムに変化するので同じ系列にはなりません)です。
$u_t$ができたので、これを使ってドリフト付きランダムウォークを計算します。ドリフト項は、0.5とした場合は以下になります。
$X_t=0.5 + X_{t-1}+u_t$
エクセルでは以下の式をセルに入力することで計算できます。
$X_t$と$Y_t$の系列は以下のようになります。
回帰分析
上の系列について、以下の式を推定します。
$Y_t=\alpha + \beta X_t + u_t$
エクセルの推定結果は以下のようになります。人工的に作成した系列ですが、t値は高く、決定係数も高いことが分かります。