経済統計の使い方
統計初心者の社会人向けに、経済データの解説をしています。「まとめページ」をご覧くだされば、全体的な内容がわかると思います。
回帰分析から学ぶ計量経済学

【時系列分析】課題2 グレンジャーの因果関係

日本の株価は米国の株価に影響を受けているか?

 日米の株価はどちらが影響を与えているのか?グレンジャーの因果関係を使って
調べてみましょう。「過去に起こったものが現在に影響する場合、因果関係がある」と考えます。日本の株価が原因か、米国の株価が原因かを調べてみましょう。全て対数階差をとって推計します。
$日本の株価=\alpha_1+\beta_1× 米国の株価(-1)+\beta_2 × 日本の株価(-1)$
$米国の株価=\alpha_2+\beta_3 × 米国の株価(-1)+\beta_4 × 日本の株価$
                        ↑時差の関係でこちらは当日

経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。

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グレンジャーの因果関係とは

 グレンジャーの因果関係は、ある変数の過去の値が、結果となる変数に影響を与えていれば、因果関係があるというものです。日米株価でいえば、「米国の株価が上がった翌日には日本の株価が上がっている」という状態なら、米国の株価が日本の株価に影響を与えていると考えます。

 説明変数に複数のラグがある場合は、「複数の係数=ゼロ」の仮説検定する必要があり、F検定が必要となります。しかし、課題のようにラグを1期前に限ると、その係数がゼロでないかどうかを調べるには通常のt検定で行えます。

データ

 データはオーム社のホームページにありますが、同じものは以下からダウンロードできます。2018年10月25日から2023年10月25日のS&P500と日経平均のデータです。

推定結果

日本の株価を$X_t$、米国の株価を$Y_t$とすると、以下のようになり、両方とも係数が有意になります。日本の株価に対する米国の株価の係数は0.40、t値は16.5で有意にゼロではありません。米国の株価に対する日本の株価の係数は0.44,t値は13.5で有意です。

$ X_t=0.0002+0.40Y_{t-1}-0.12X_{t-1} $

$ Y_t=0.0004-0.36Y_{t-1}+0.44X_{t} $

 エクセルでの推計結果は以下のようになります。

日本の株価の推定

米国の株価の推定

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