この記事では、母集団の平均が特定の値かどうかを、標本から判断する方法を説明します。母集団の分散がわかっている場合です。標準正規分布を使うため、わかりやすいので、まずはこの方法からです。
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母平均の検定 (分散がわかっている場合)
あるチョコレートメーカーは平均内容量100gと主張しているが、それより少ないかもしれないという疑念があり、調べることにしました。
チョコレート100サンプルの標本の平均は98.5gでした。
母分散は $8^2/100^2 g^2$とわかっています。標準偏差は 8/10 gです。
以下の仮説を有意水準5%水準で検定します
- 帰無仮説(H0):100 gで変化がない
- 対立仮説(H1):100 gより減った
仮説検定の手順
- 有意水準(偶然では起こりえないほど珍しい確率)を決めます。今回は5%以下とします。
- 帰無仮説(母集団平均は100g)と母分散から棄却域を決めます。
- 標本平均を調べます。
- 標本平均が棄却域に入れば帰無仮説が棄却されます。
- 対立仮説が正しいという結論になります。
棄却域の決め方
エクセルの復習
棄却域を調べるため、エクセル関数に関して復習をしておきます。
分布 | 逆関数 | |
正規分布 | NORM.DIST( ) | NORM.INV( ) |
t分布 | T.DIST( ) | T.INV( ) |
カイ二乗分布 | CHISQ.DIST( ) | CHISQ.INV( ) |
- 分布関数は、平均や標準偏差を設定すると対象セルの累積確率や確率密度を計算します。
- 逆関数は、平均や標準偏差、累積確率を設定すると、分布図の横軸の値を計算します。
棄却域を求めるには逆関数NORM.INV
NORM.INV(「確率」、「平均」、「標準偏差」)=横軸の値
有意水準が片側5%の時、NORM.INV(0.05,0,1)=-1.64です。
棄却域を決める
片側5%の棄却域は、1.64×標準偏差の場所なので、100‐1.64×0.8=98.7となり、棄却域は98.7g未満。
仮説検定の手順
- 有意水準(偶然では起こりえないほど珍しい確率)を決める。 5%以下、1%以下など 5%
- 帰無仮説(母集団の平均=350㎤)、標本標準偏差から棄却域を決める。 98.7g未満
- 標本平均を調べる。 98.5g
- 標本平均が棄却域に入れば帰無仮説が棄却される。 棄却
- 対立仮説が採択される。
対立仮説の違いで結果が変わる。
同じ帰無仮説でも、対立仮説の違いで結果が変わる場合があります。
片側検定の場合
- 帰無仮説 母集団の平均は100g
- 対立仮説① 母集団の平均は100g未満
両側検定の場合
- 帰無仮説 母集団の平均は100g
- 対立仮説② 母集団の平均は100gではない 100gよりも大きい可能性もある
両側検定の場合、有意水準が同じなら、片側検定より棄却域は小さくなります(棄却しにくくなる)。
両側検定の場合
棄却域は、NORM.INV(0.025,0,1)=-1.96なので、100ー1.96×0.8=98.4、100+1.96×0.8=101.6で、棄却域は98.4g未満または、101.6gより大きいとなります。
- 有意水準(偶然では起こりえないほど珍しい確率)を決める。 5%以下、1%以下など 5%
- 帰無仮説(母集団の平均=350㎤)、標本標準偏差から棄却域を決める。 98.4g未満または 101.6gより大きい
- 標本平均を調べる。 98.5g
- 標本平均が棄却域に入れば帰無仮説が棄却される。 受容
- 帰無仮説が受容される。
まとめ
- 母平均の検定の説明をしました。
- 有意水準を決めて、棄却域を決めます
- 標本平均を調べます
- 標本平均が棄却域に入ったら帰無仮説を棄却して対立仮説が正しいとします。
- 標本平均が棄却域に入らなかったら帰無仮説を受容します。
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