為替レートは、国と国とのお金の比率を表すものです。一番有名なのは対ドル円レートでしょう。ほかにも、購買力平価や実質実効為替レートなどがあります。
経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。
対ドル円レート
対ドル円レートは、1ドルに対する円の価値です。1ドルが何円になるかを表しています。実質為替レートに対して、名目為替レートとも呼ばれます。これはニンジン1本が何円か、本一冊が何円かを表していることと同じで、ドルの価値を測っているものです。だから数字が大きくなるとドル高、数字が小さくなるとドル安ということになります。通貨はシーソーと同じで一方がが高くなれば必ずもう一つは下がります。ドル高は円安、ドル安は円高と同じです。だから、数字が大きくなると円安、小さくなると円高になります。
現在の為替レートは、ヤフーファイナンスなどで調べることができます。
分析をするために時系列でデータを入手するには、日本銀行のサイトか総務省の統計ダッシュボードが便利です。
日本銀行のサイトでは、「為替」というメニューを選べばグラフが表示されます。エクセル形式でデータを入手することができます。月次データのほか日次データも入手できます。
統計ダッシュボードでは、グラフで見る→分野→企業・家計・経済と選びます。金融という分野がなく、「企業・家計・経済」というわかりくい分野の中にあります。グラフでの表示は、縦軸が0からの表示しかできなくて、見た目はいまいちなので、データをダウンロードして使う方がいいでしょう。
購買力平価
為替レートと似たものとして、購買力平価があります。商品の価格を比べたものと考えるといいでしょう。長期的な為替レートの水準を考える時などに使います。詳しくは、購買力平価からみた為替レートをご覧ください。
実効為替レートとは
為替レートでは対ドル円レートが有名ですが、ほかの国との為替レートもあります。欧州のユーロ、英国のポンド、韓国のウォンなどさまざまあります。
通貨「円」の実力をみるには、ドルに対してだけではなく、他の国の通貨に対してのレートを考慮する必要があるでしょう。それを表したものが実効為替レートです。
実質為替レートとは
通常の為替レートは、名目為替レートです。市場で取引される為替レートですが、各国の物価は考慮されていません。たとえば、1ドル=100円の時、米国で1ドルで買えるものと日本で100円で買えるものが同じものとは限りません。物価が考慮されてないからです。
物価を考慮した実質為替レートは以下の式で表されます。
$ 実質為替レート(円/ドル)= 名目為替レート(円/ドル)×(米国の物価/日本の物価) $
日本のように物価が上がらない状態が続く一方で、米国の物価は上がり続けているとすると、同じ1ドル=100円でも米国に行って買えるものが少なくなります。ドルの価値が上がっていることになり、実質為替レートは円安方向に進むことになります。
実質実効為替レートー割安感が顕著
実質実効為替レートは、実効為替レートと実質為替レートを合わせたものです。日本銀行が計算しており、月例経済報告の主要経済指標にも載っています。
実質実効為替レートは、自国の財やサービスの他国と比較した割安度、割高度を表すと考えればよいでしょう。
名目為替レートが円安であるとともに、外国に比べて物価も上がっていないので、実質実効為替レートは、名目為替レートに比べて、日本の割安感が顕著です。
日本の輸出品や訪日外国人にとっては大きなメリットでしょう。一方、輸入品の値上がりや海外旅行での割高感も顕著で、大きな問題となっています。
50年ぶりの円安水準
日本銀行は、1970年1月以降実質実効為替レートを計算していますが、2022年7月は58.7で1970年の水準に戻っており、50年ぶりの割安水準といえます。
モノを売るには有利かもしれませんが、モノを買うにはかなり不利な状況になっていることがわかります。