- 上級財と下級財の例として、バターは上級財、マーガリンは下級財と説明すると、バターとマーガリンは代替財じゃないですか?という声がいつも起こります。
- マーガリンはバターの代わりに人工的に作られたものなので、同等の関係である代替財というより、下級財ではないかと思います。
- それを家計調査の品目分類データで検証してみます。
- 家計調査については、餃子ランキングの作り方やクセが強い家計調査ーGDPとズレますも参考にしてください。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
上級財とは
上級財とは、所得が増えるにつれて購入数量が増える財のことで、下級財は所得が増えるにつれて購入数量が減る財のことです。高級ラーメンは上級財、カップラーメンは下級財などの例があります。
上級財と下級財の例としては以下のものが挙げられます。
上級財 | 下級財 |
人気ラーメン店のラーメン | カップラーメン |
ブランド品 | ノンブランド品 |
高級ワイン | 日常使いのワイン |
クラフトビール | 発泡酒 |
バター | マーガリン |
家計調査の結果
家計調査を使って、バターとマーガリンに関して、購入金額、購入数量、平均価格を計算しました。年間収入五分位は、収入が少ない世帯がⅠで最も多い世帯がⅤになっています。
平均価格は200g当たりで、バターが421円に対して、マーガリンは144円で、バターがかなり高いことがわかります。
購入数量をみると、バターは明らかに上級財で、所得が増えるに従って購入数量が増えています。5分位Ⅰでは470gですが、5分位Ⅴでは831gです。
マーガリンに関しては、最も購入数量が多いのが5分位Ⅱの967gで、最も少ないのが5分位Ⅴの736gなので、概ね下級財の性質を示しているといえるのではないでしょうか。
年間収入の分け方
家計調査では、調査世帯を年間収入別に5種類に分けて分析できるようになっています。
収入の境界線は毎月変わるので、参考表として公表されています。総務省の家計調査の調査結果→家計調査(家計収支編)調査結果→家計調査(家計収支編) 五分位・十分位の境界値(二人以上の世帯) にあります。下の表は2021年の平均です。一人当たりの年収ではなく、世帯当たりの年収です。
年間収入の境界(万円) | |
第Ⅰ分位と第Ⅱ分位 | 466 |
第Ⅱ分位と第Ⅲ分位 | 604 |
第Ⅲ分位と第Ⅳ分位 | 750 |
第Ⅳ分位と第Ⅴ分位 | 962 |
実際の検索法
家計調査のデータはe-Statから入手しました。
家計調査→家計収支編→二人以上の世帯→年次 を選びます。
品目分類(2020年改定)(年間収入5分位階級:金額)でDBを選びます。
表示項目選択で
- 金額
- バターとマーガリン
- 二人以上の世帯のうち勤労者世帯
- 平均、年間収入五分位すべて
- 全国
- 2021年(最新)
をそれぞれ選びます。
同様に、
品目分類(2020年改定)(年間収入5分位階級:数量)でDBを選びます。
表示項目選択で
- 数量
- バターとマーガリン
- 二人以上の世帯のうち勤労者世帯
- 平均、年間収入五分位すべて
- 全国
- 2021年(最新)
をそれぞれ選びます。
家計調査を使って、他の財についても調べてみると面白いと思います。
肉はだいたい上級財
牛肉、豚肉、鶏肉について調べました。牛肉と豚肉は所得が上がるにつれて購入量が増えているので、上級財といえます。鶏肉については、第Ⅴ分位では購入量が減っていますが、おおむね上級財といえます。