景気の基調判断は、月例経済報告ともに、景気動向指数でも行われています。月例経済報告の基調判断は、政府の総合的な判断を示しますが、景気動向指数は機械的に決められます。同じ月でも判断が変わることがあります。概して、月例経済報告の判断は遅れるので、景気動向指数の判断を主とすると良いでしょう。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
景気動向指数の基調判断
内閣府が作成する景気動向指数では、指数の発表と同時に景気の基調判断も発表されます。月例経済報告とは違い、完全に機械的な判断です。以下の表が判断する根拠です。回復と拡大の区別はなく、改善としています。また、方向感がわかりにくい場合については、局面変化という言葉を使っています。景気判断に恣意性が入らないという点で信頼できます。
判断基準は、毎月の発表資料の概要に載っています。
景気動向指数に関する説明は、景気動向指数ー景気基準日付作成の基礎データをご覧ください。
月例経済報告の基調判断
月例経済報告の表紙には、景気の現状を端的に示す言葉が記されています。2022年8月の場合は「景気は、緩やかに持ち直している。」です。
これは、総論の景気の基調判断の部分で、景気の状況を端的に表す文章がでてきます。「景気は弱含みで推移している」あるいは「景気は回復している」といった表現です。回復→拡大→弱含み(足踏み)→悪化→下げ止まり→底入れ→持ち直しなどの言葉が使われています。これらを時系列的にみると、政府の判断がどのように変わってきたかをみることができます。
月例経済報告の基調判断に関する分析は
山澤成康「遅れる政府の景気判断-月例経済報告の研究―〈政策データウォッチ(27)〉」東京財団政策研究所をご覧ください。
実際の判断の推移
以下は、2019年1月以降の基調判断の推移です。景気動向指数は、ある月のデータが判明するまで2カ月程度かかるので、同じ月で比べると、月例経済報告に比べて発表が遅いです。
景気動向指数 | 月例経済報告 | |
2019年1月 | 下方への局面変化 | 緩やかに回復 |
2月 | 〃 | 〃 |
3月 | 悪化 | 〃 |
4月 | 〃 | 〃 |
5月 | 下げ止まり | 〃 |
6月 | 〃 | 〃 |
7月 | 〃 | 〃 |
8月 | 悪化 | 〃 |
9月 | 〃 | 〃 |
10月 | 〃 | 〃 |
11月 | 〃 | 〃 |
12月 | 〃 | 〃 |
2020年1月 | 〃 | 〃 |
2月 | 〃 | 〃 |
3月 | 〃 | 厳しい |
4月 | 〃 | 極めて厳しい |
5月 | 〃 | 〃 |
6月 | 〃 | 下げ止まりつつある |
7月 | 〃 | 持ち直し |
8月 | 下げ止まり | 〃 |
9月 | 〃 | 〃 |
10月 | 足踏み | 〃 |
11月 | 〃 | 〃 |
12月 | 〃 | 〃 |
2021年1月 | 〃 | 〃 |
2月 | 改善 | 〃 |
3月 | 〃 | 〃 |
4月 | 〃 | 〃 |
5月 | 〃 | 〃 |
6月 | 〃 | 〃 |
7月 | 〃 | 〃 |
8月 | 〃 | 〃 |
9月 | 足踏み | 〃 |
10月 | 〃 | 〃 |
11月 | 〃 | 〃 |
12月 | 〃 | 〃 |
2022年1月 | 〃 | 〃 |
2月 | 〃 | 〃 |
3月 | 改善 | 〃 |
4月 | 〃 | 〃 |
5月 | 〃 | 〃 |
6月 | 〃 | 〃 |
7月 | 〃 | 〃 |
8月 | 〃 | |
9月 | 〃 | |
10月 | 〃 |
月例経済報告全般については、月例経済報告ー政府の公式見解がわかるをご覧ください。
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