さまざまな統計の意味付けをわかりやすくするため、ランキング形式で、指標を紹介します。
経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。
1位 景気動向指数
景気動向指数は、内閣府が毎月発表する統計です。CIやDI、先行指数、一致指数、遅行指数など様々な指標がありますが、最も重要なのは、景気動向指数CIの一致指数です。
CIの一致指数は、景気に敏感な統計10個を合成したものです。簡単に言えば10種類の統計の伸び率を合成して、その伸び率を使って系列を作ったものです。
この指標が重要なのは、これらの構成指標が、政府の景気に関する正式見解である景気基準日付を決めるために使われているためです。景気基準日付の決定は総合的に判断することになっていますが、CIの一致指数の動きに反して決められることはないでしょう。
2位 日銀短観
日銀短観は、日本銀行が企業にアンケート調査をして作成されています。その中の「業況判断DI」は、景気が「良い」と思っている経営者の割合から景気が「悪い」と思っている経営者割合を引いたもので、直接景況感がわかる指標です。これに勝る景況感の指標はないともいえます。
問題があるとすれば、「経営者の景況感と一般市民の景況感にはかい離があるのではないか」、ということでしょうか。それに関しては内閣府の「景気ウオッチャー調査」がカバーしているとえいます。こちらはより庶民感覚に近い景況感を表しているといえます。
ただ、現在の景気基準日付との連動性は、日銀短観の業況判断DIの方が高いため、有用な統計であることは間違いないでしょう。
3位 鉱工業生産指数
3位は、経済産業省の「鉱工業生産指数」としました。工業製品の生産動向がわかる指数です。日本ではサービス化が進み、製造業の占める比率は付加価値ベースでは2割弱です。その意味では日本の経済活動をすべて表しているわけではありません。
しかし、製造業はサービス業などに比べて景気を反映しやすいという特徴があります。また、生産指数は動きが比較的なめらかで、現在上向いているか、下向いているかがわかりやすいです。その意味では景気動向を見るときに重宝する指標の一つであることは間違いありません。
参考:GDP統計
GDP統計も重要な統計ですが、景気を見には扱いにくいかもしれません。米国では、前期比で2四半期マイナスになると、「景気後退」であるといわれています。しかし、日本ではそれほど明確な対応はありません。
GDPが景気と連動しないのは、統計の作り方にも影響しています。消費の中に「帰属家賃」という項目があります。これは持ち家の所有者が自分自身に家賃を支払っているとみなして、計上しているものです。実際に消費しているわけではないですが、この比率が大きいため、景気との連動性が薄れています。また、公共投資は景気が悪いと増え、景気が良いと減る傾向があり、GDP全体として景気を明確には表していない場合が多いです。