米国の消費者物価指数が注目を集めています。米国ではインフレを抑えるため、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに動いていますが、どの程度利上げをするかは、この消費者物価指数の動向次第だからです。
2022年8月の消費者物価指数(総合)は前年比8.3%上昇しました。食料にはまだ天井が見えていませんが、エネルギーはピークを打っています。まだ高い水準ですが、ピークが見えてきたかもしれません。
毎月上旬に発表
消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)は、消費者が購入する財やサービスの価格を表してます。
米国では、商務省労働統計局が発表しています。下記画像をクリックすると最新版が見られます。発表日に関して、雇用統計のように「第1金曜日」という決まりはないようで、毎月10日~13日頃に発表されます。
ウエートは食料、エネルギーがともに1割程度
消費者物価指数のうち注目されるのは、最も速く発表される都市部消費者(Urban Consumer)の消費者物価です。
すべての財を集計した総合指数のほか、食料、エネルギー、食料、エネルギーを除いた総合指数が注目されます。
指標を見る際に重要なのは、それぞれの財のウエートです。2022年現在では以下のウエートになっています。
ウエート(都市部消費者) | |
総合 | 100 |
食料 | 13.37 |
エネルギー | 7.348 |
食料、エネルギーを除く総合 | 79.282 |
ウエートに関する情報は以下のサイトにあります。
「相対的重要度とウエート」(労働統計局ホームページ)
現状は歴史的な急上昇
現在の消費者物価の状況を見てみましょう。内訳が得られる1957年1月からのグラフで、それぞれ、前年同月比伸び率のグラフです。
まず、総合指数は、第一次オイルショック、第二次オイルショックの上昇に次いで高くなっています。エネルギー価格が急上昇していることがわかります。
ただ、過去をみると、エネルギー価格は上昇していてもほかの価格はそれほど上昇していない時期が多いです。今回は、エネルギー価格の上昇に加えて食料価格の大幅な上昇が特徴的なことがわかります。
食料、エネルギー価格だけでなく、それらを除いた物価も上昇しています。これは、景気の足腰が強いというよりは、食料やエネルギー価格上昇がほかの財やサービスの価格上昇に波及したものだと考えられます。
データは、様々な形で取り出せます。
ここでは、HOME→SUBJECTS→Consumer Price Index→CPI Data→Databases→All Urban Consumers(Current Series)→Top Picks
を表示させ、対象系列(All items, All items less food and energy, Food, Energy)にチェックを入れました。上から4つです。
チェック項目の下にあるRetrieve dataボタンを押すとデータが表示されます。
ダウンロードも様々な形式ができます。More Formatting Optionsを選ぶと、複数系列が一度にダウンロードできるオプションが選べます。
More Formatting Optionsを選ぶと、Databases, Tables & Calculators by Subjectの画面になります。
select view of the data
Multi-series table
Original Data Value
12-Month Percent Change
Select the time frame for your data
Specify year range: 1957:最新年
All Time Periods
Output Type
HTML table
を選んで、表を表示させてから、エクセルファイルをダウンロードするとよいでしょう。上半期、下半期の日付も入っているので、それを除く必要があります。
今後は沈静化も
次に直近の様子を、指数の水準で見てみましょう。
エネルギー価格をみると、現状ではピークを打っているように見えます。もし、これ以上エネルギー価格が上がらないとすると、前年同月比の数字は急激に低下することが考えられます。
一方、食料の方は、天井が見えていません。食料価格がピークに達すれば、その後価格は沈静化していくことも考えられます。