経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
比率の標本から比率を推定する
母集団に、リンゴが好きな人と嫌いな人がいるとき、「リンゴが好きな人の比率」(母比率)を標本の比率から推定します。
$X_i$は1か0をとるものとする。
通常の確率変数は、さまざまな値をとることができます。たとえば、サイコロの場合は、$X_i$は1~6を取ります。今回は、$X_i$が2つの値しかとらない場合です。起こる($X_i=1$)か起こらない($X_i=0$)かの2択の分布を考えます。これは、コインの表と裏、動物の雄と雌などのデータです。
確率pで1、確率(1-p)で0となるとき、$X_i(i=1,2,3…n)$はベルヌーイ分布に従います。
- ベルヌーイ分布
- 平均$p$
- 分散 $p(1-p)$
また、nが十分大きい時、標本平均(R)は、中心極限定理により、平均$p$、分散$p(1-p)/n$の正規分布に従います。
区間推定の手順
nが十分大きい時、標本平均(R)は、中心極限定理により、平均p、分散p(1-p)/nの正規分布に従います。
信頼区間95%の場合、以下の式が成り立ちます。
$-1.96 ≤ \dfrac{R-p}{\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}} ≤ 1.96$
標本平均(R)と信頼区間の関係を式で表します。
$p-1.96\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}≤R≤p+1.96 \sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}$
その式を母集団の平均に関する式に変形します。
$R-1.96 \sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n)}}≤p≤R+1.96\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}$
nが十分大きい時、p(母集団の平均)はR(標本平均)で近似できます。(大数の法則)
$R-1.96\sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}≤p≤R+1.96 \sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}$
計算例
あるYou tubeのサイトの認知率を大学生400人にきいたところ、320人が知っていた。この場合、日本全体の認知率は95%の信頼区間で何%から何になるか?
$R-1.96\sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}≤p≤R+1.96 \sqrt{\dfrac{R(1-R)}{n}}$
- 母集団はp
- 標本平均Rは320/400=0.8
- 標本数nは400
なので、以下の式となります。
0.7608≤p≤ 0.8392
つまり、認知率は76%以上83%以下です。
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