設備投資関連統計で重要なのは、法人企業統計と資本財出荷指数です。先行きをみるには、機械受注統計が重要です。
日銀短観は設備投資計画を調査しているので、それを参考にして今後の動きを予測します。ただ、景気動向によって計画は大幅に修正されることに注意が必要です。
経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。
設備投資の指標の見方について、月例経済報告の「主要経済指標」を参考にしながら、見ていきましょう。
GDP統計が重要
設備投資の最も重要なデータは、GDP統計です。四半期に一度発表されています。
GDPの設備投資は、需要側統計と供給側統計から推計してそれを加重平均するという方法で作成されています。
第1位 法人企業統計
需要側は、財務省の「法人企業統計」です。企業に設備投資をどの程度行ったかを調査したものです。業種別、規模別に発表されており、設備投資動向を探るには欠かせない統計になっています。ただ、中小企業を業種別にみると、サンプル数が少なくなり大きく変動することが問題になっています。
第2位 資本財出荷指数
供給側は、経済産業省の「資本財出荷指数」です。設備投資に使うさまざまな材料を資本財と呼びますが、それらの品目がどのくらい出荷されたかを調べたものです。「資本財総供給指数」も参考にします。 総供給指数は、輸出向けを引き、輸入分を加えたものです。国内での投資活動を表すという意味ではこちらの方が正確です。
第3位 機械受注
先行指標として重要なのは、機械受注です。機械受注は、機械類についての受注額なので、受注された製品が実際に取り付けられるまでには時間があり、設備投資の動きに半年程度先行します。
建築着工統計
建築着工統計の工事費予定額(民間非居住用)は、建築投資の先行指標としてなります。建築着工統計のうち、民間の非居住用は工場や店舗などの建物です。工事費予定額は着工時に調べるものですが、着工から完成までには時間がかかりますので、これも先行指標としての役割を果たします。
また、道路整備や土地造成など土木分野の統計としては、建設工事受注統計の工事費受注額(民間)も重要です。
設備投資計画のデータ
設備投資の見通しについては、さまざまな機関が調査しています。調査数などで考えて最も信頼できるのは、日本銀行の「全国企業短期経済観測調査(短観)」です。そのほかの調査は調査時点が違うので、発表時点で参考にするのがいいでしょう。
企業の設備投資計画は、景気動向に大きく左右されます。景気が良ければ計画以上に設備投資を行い、景気が悪ければ計画よりも投資額は少なくなります。これらのクセを含めて調査結果を見る必要があります。
機関名 | 日本銀行 | 日本政策投資銀行 | 日本経済新聞社 | 内閣府・財務省 |
調査名 | 全国企業短期経済観測調査 | 全国設備投資計画調査 | 設備投資動向調査 | 法人企業景気予測調査 |
回答社数 | 9362 | 1823 | 1092 | 11013 |
発表時期 | 資本金10億円以上 | 上場企業、資本金1値億円以上の有力企業 | 資本金1000万円いじょう |
調査時点 | 発表時期 | |
1月 | ||
2月 | 短観、内閣府、財務省 | |
3月 | 短観 | 内閣府・財務省 |
4月 | 日経 | 短観 |
5月 | 内閣府・財務省、短観 | |
6月 | 政投銀、短観 | 内閣府・財務省、日経 |
7月 | 短観 | |
8月 | 内閣府、財務省 | 政投銀 |
9月 | 内閣府・財務省 | |
10月 | 日経 | |
11月 | 短観、内閣府・財務省 | |
12月 | 短観、日経、内閣府・財務省 |