和記法は最小二乗法の単回帰分析でよく使います。
教科書では、いちいち説明してない場合も多いので、公式についてまとめておきます。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
シグマの計算
基本的な計算
$ \sum\limits_{i=1}^n X_i=X_1+\dots + X_n $
定数の和
$ \sum\limits_{i=1}^n c= c+\dots+c=nc $
定数倍の和
$ \sum\limits_{i=1}^n c X_i= cX_1+\dots+cX_n=c \sum\limits_{i=1}^n X_i $
和のシグマはシグマの和
$ \sum\limits_{i=1}^n (X_i+Y_i)$
$ =(X_1+Y_1)+(X_2+Y_2)+\dots+(X_n+Y_n)$
$=(X_1+X_2+\dots+X_n)+(Y_1+Y_2+\dots+Y_n)$
$ = \sum\limits_{i=1}^n X_i+ \sum\limits_{i=1}^n Y_i $
偏差の公式
計量経済学でよく使う式の変形に、平均値($\bar{X}$)からの差である偏差を使ったものがあります。詳しい変形はこの記事の最後にあります。
- 偏差の和
$ \sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})=0 $
- 偏差の二乗和
$ \sum\limits_{i=1}^n (X-\bar{X} )^2=\sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X} )X_i$
- 偏差の積和
$\sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})(Y_i-\bar{Y})= \sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X} )Y_i $
二重和(二重シグマ)の計算
二重和は、最初のシグマについて1から順に一つずつ取り出し、2番目のシグマについて足していくことを繰り返すものです。1変数で2つの属性を持ているもの(たとえば$X_{ij})$と2つの変数について適用する(たとえば$X_i$と$Yj$)場合がありますが、考え方は同じです。
- i=1について j=1からm までの和
- i=2について j=1からm までの和
- i=nについて j=1からmまでの和
- それらすべての和
基本的な計算(1変数の場合)
$\sum\limits_{i=1}^n \sum\limits_{j=1}^m X_{ij} $
$= \sum\limits_{i=1}^n (X_{i1}+ \dots +X_{im} ) $
$= ( X_{11}+\dots+X_{n1} )+\dots + (X_{1m}+ \dots + X_{nm} ) $
基本的な計算(2変数の場合)
$\sum\limits_{i=1}^n \sum\limits_{j=1}^m X_i Y_j $
$=X_1(Y_1+\dots+Y_n)+X_2(Y_1+\dots+Y_n)+\dots +X_n(Y_1+\dots+Y_m)$
順序を変えても同じ
$\sum\limits_{i=1}^n \sum\limits_{j=1}^m X_{ij}=\sum\limits_{j=1}^m \sum\limits_{i=1}^n X_{ij} $
積は分解できる
$\sum\limits_{i=1}^n \sum\limits_{j=1}^m X_i Y_j $
$=X_1(Y_1+\dots+Y_n)+X_2(Y_1+\dots+Y_n)+\dots +X_n(Y_1+\dots+Y_m)$
$=(X_1+\dots+X_n)(Y_1+\dots+Y_m)$
$=\sum\limits_{i=1}^n X_i \sum\limits_{j=1}^m Y_j $
シグマの二乗と二重シグマの関係
この式は結構使うのにあまり説明されていない気がします。左辺には$i$しかないのに、右辺になると$i$と$j$が出てきます。
$( \sum\limits_{i=1}^{n} X_i )^2=\sum\limits_{i=1}^n \sum\limits_{j=1}^n X_{i}X_j $
詳しく書くと
$( \sum\limits_{i=1}^{n} X_i )^2$
$=(X_1+X_2+\dots +X_n)(X_1+X_2+\dots +X_n)$
$=(X_1X_1+X_1X_2 + \dots + X_1X_n)+(X_2X_1+X_2X_2 +\dots + X_2X_n)+(X_nX_1+X_nX_2 + \dots X_nX_n) $
$=\sum\limits_{i=1}^n \sum\limits_{j=1}^n X_{i}X_j $ $(X_1+X_2+ \dots X_n)(X_1+X_2+ \dots X_n)$
偏差の公式を詳しく
- 偏差の和
$ \sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X}) $
$ =\sum\limits_{i=1}^n X_i-n\bar{X}=0 $
- 偏差の二乗和
$ \sum\limits_{i=1}^n (X-\bar{X_i} )^2 $
$ =\sum\limits_{i=1}^n (X-\bar{X_i})(X-\bar{X_i}) $
$ =\sum\limits_{i=1}^n ((X_i-\bar{X})X_i-(X_i-\bar{X})\bar{X}) $
$=\sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})X_i-\bar{X_i} \sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})$
$= \sum\limits_{i=1}^n\ (X_i-\bar{X})X_i $
- 偏差の積和
$\sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})(Y_i-\bar{Y}) $
$=\sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})Y_i-(X_i- \bar{X})\bar{Y}) $
$=\sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X})Y_i-\bar{Y} \sum\limits_{i=1}^n(X_i-\bar{X}) $
$= \sum\limits_{i=1}^n (X_i-\bar{X} )Y_i $
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