経済統計の使い方
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経済学

経済学Q&A(2025)その5(最終)

質問への回答

Contents
  1. マクロ経済学

マクロ経済学

【質問】108/158ページで、2/3<Px/Py<2で等号が入らないのはなぜでしょうか。

等号が成り立つ場合は、国際価格と国内価格が等しい場合で、国内品を作ることにデメリットはなく、わざわざ貿易をしなくてもいいからだと思います。

外貨の供給曲線が垂直になっている理由をご教示ください。

供給量はこれまでの経常収支の黒字の累計額ということです。現在の外貨の需給は過去の経常収支の累積で決まっていて、変わらないので、垂直としています。

ただ、外貨の供給曲線を右上がりとしているグラフもあります。ドル高(円安)→輸出増→経常収支増という動きも取り入れたものだと考えられます。

アセットアプローチについて、米国の利子率が上がると円安になるので、反対に日本の利子率が上がると円高になるということでよろしいでしょうか。また、利子率を上げることのメリットとデメリットを教えていただきたいです。

日本の利子率が上がると円高ということで合っています。

利子率を上げると、

  • 借り入れが難しくなり設備投資が減る。
  • 為替レートは円高になり、ドル建て価格は上がることになるので輸出の抑制要因となる。

簡単にいうと、メリットは物価の上昇を抑えられることで、デメリットは景気を悪くする、ということだと思います。

現実の為替ルートでは、地政学的リスクや政治要因などの影響が大きいため、アセットアプローチが働くものの収益率が同じになる動きが見えにくいということでしょうか。

そうだと思います。為替レートは、株価よりもよほど予測が難しいといわれています。

株価は企業収益が基本ですが、為替レートは、経済的な要因以外に政治的要因などさまざまな要因が働き、国の数(通貨の数)も多く、変動要因が多いです。

金融債についてはなじみがありませんので、具体例等を含め、もう少し教えてください。

日本興業銀行など長期信用銀行があったときに発行されていたものですが、現在は発行されてないので、それほど重要ではありません。

昔の広告です。

https://jaa2100.org/entry/detail/056691.html

預金金利について難しいと感じました。コール市場について具体的に教えていただきたいです。

コール市場は、銀行間の市場なので普段目にすることはなく、なじみがないかもしれません。また、証券取引市場のように物理的に存在せず、ネット上にあるので、つかみにくいかもしれません。しかし、日本銀行の金融政策は、コール市場を操作することから始まるので重要です。

https://www.boj.or.jp/about/education/oshiete/glossary/market/m08.htm

株式について、証券会社が仲介しているのに直接金融となっているのはどのような考え方によるものでしょうか

証券会社が仲介はしていますが、トヨタの株価を買うと、そのお金は証券会社には入らず(手数料は入りますが)、トヨタに直接渡されるので、家計と企業が直接つながっていることになります。

【質問】貨幣量を増やしすぎるとGDPの減少に寄与することもありますでしょうか。貨幣数量式の単位はM:円、Vは取引回数、Pは円、Tは取引回数のようなイメージでしょうか。

マネタリストの主張が成り立つためには、マーシャルのKが一定である必要がありますが、実際には変動しています。ここが変動すれば、貨幣量とGDPとの関係が崩れます。

起こりえるのは、貨幣量の増加→物価上昇→需要の低下→実質GDP減少という経路だと思います。

Pは価格なので、生産物1単位当たりの価格となります。

M(円)V=P(円/生産数)T(取引回数)

これで単位を合わせると、V=取引回数/生産数となり、生産物1単位当たりの取引回数になると思います。それを速度と呼んでいます。

先ほどの問題1(本課題の問題5)について、中央銀行たらしめている日本銀行が管理しているのは、マネタリーベースだと思ったので、間違いだと思ったのですが、どういう意味合いなのかが、まったく分からなかりませんでした。テスト前の復習のためにもご教示いただけますと幸いです。

日本銀行の最終的な使命は、物価の安定を図ることで、そのために、マネーストックを適切に調整したいと考えています。問題文ではそのことを管理とよんでいます。

(通貨及び金融の調節の理念)
第二条 日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。

マネタリストの話が出ていましたが、以前のスライドにあった新古典派やケインズ派などどはまた違う学派でしょうか?

マネタリストは新古典派に分類されます。

ミルトン・フリードマンという高名な経済学者がいますので、この人を中心に調べると良いと思います。

M2とM3について、聞き逃していたら申し訳ございませんが、ゆうちょ銀行と民間銀行を分ける理由を教えていただきたいです。

M2だけがが特殊な扱いです。

新統計制度になる前の主要な指標としてM2+CDがあり、これと接続できるようにするため、M2はゆうちょ銀行を除いています。

近年NISAなど個人の投資が進んだことで預金が減りマネーストックにも影響があるのでしょうか。

預金が減るのでマネーストックも減ります。ただ、その金額はそれほど多くないようです。

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