供給曲線が右上がりの理由について説明します。一見簡単そうですが、限界費用が逓増するということが背景にあり、説明は難しいです。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。

簡単な説明
供給曲線が右上がりになる説明として、パン屋さんの例で説明します。
パン屋さんが1個100円でパンを売っていたとします。値段が150円になったら、儲かるので、パンを3個作るようになるでしょう。値段が50円になったら、あまり儲からないので、1個しか作らないでしょう。値段が上がればパンをたくさん作るようになるので、供給曲線は右上がりになるのです。

回答には疑問が
しかし、上の回答にはよくわからない点があります。その疑問と回答を書きます。
儲かるなら3個といわず、もっと作ればよいのではないか?
100円で売っていたものが、150円で売れるなら3個以上売ればもっと儲かるはずです。なぜパン屋さんは3個で作るのをやめるのでしょうか。それはたくさん作るとよけい費用がかかるためです。パン屋さんの例でいえば、ある程度以上にパンを作ろうとすると人を雇う必要がでてきます。そうすると費用(人件費)が増えてしまいます。
このことを、ミクロ経済学では「限界費用逓増の法則」と言います。生産設備が一定の場合、生産量を増やすには追加的な労働力が必要になり、追加労働力の生産性は落ちることから追加費用はどんどん大きくなるというものです。とにかく生産量を増やせば儲かるというわけではないのです。
儲からないなら作らなくてもよいのではないか?
これも確かに言えます。パンを50円で売る場合、それを作る費用が80円だとしたら、赤字になるので、パンは作らないでしょう。費用が40円の場合は、10円儲かるので作るでしょう。このように考えると、ある価格で作るための適正な生産量があることがわかります。
1個パンを作って多少なりとも儲けが出る水準、それが50円だとしたら、1個はパンを作ることになります。
利益最大化から導かれる
このように、供給曲線が右上がりになることを説明するのはなかなか難しいですが、ミクロ経済学を使えば説明できます。
供給曲線は、企業の利益最大化行動から求められます。完全競争市場では、利益を最大化する生産量は、限界収入が限界費用に等しい時です。
限界収入=価格なので、価格と限界費用が等しいところで企業は生産をすることになります。
つまり、供給曲線は、限界費用曲線と一致することになります。限界費用曲線は、右上がりなので、供給曲線も右上がりということになります。


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