経済統計の使い方
統計初心者の社会人向けに、経済データの解説をしています。「まとめページ」をご覧くだされば、全体的な内容がわかると思います。
GDP

【GDP】FISIMについてー金融機関の生産額を測る

この記事は以下の疑問に答えるものです。

  • 金融機関の生産額ってどうやって測るの?

以前は、利子収入が金融機関の産出と考えられていました。確かに、企業は利子をし貼ることによってお金を借りられているので、サービスを受けています。また、家計はなぜわずかながらも利子が付き、お金の出し入れが容易になるために金融機関を使います。

利子収入で測れるのは貸出による利益ですが、これは企業から受け取っているもので、家計にはお金を払っています。

  • 家計は金融サービスを受けているはず。その生産額はいくら?

この考えから、金融仲介サービスを数値化するための方法としてFISIMが採用されました。

経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。

【GDP】GDPのまとめ 経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。 https://officekaisuiyoku.com...

金融機関の生産額

GDP(国内総生産)は、すべての産業の生産額(正確には付加価値額)を記録します。鉄鋼の生産額は、鉄鋼生産額から中間投入を引いたもの、宿泊施設の生産額は売上高から中間投入をひいたもので表せます。

概要

FISIM(Financial Intermediation Services Indirectly Measured)は、金融機関の産出額を測るために、仮想的な取引を想定したものです。金融仲介サービスを間接的に測る方法という意味です。

銀行は、家計に対して預金サービスを、企業に対しては貸し出しサービスをしていると考えることができ、預金サービスを貸し手側FISIM、貸出サービスを借り手側FISIMと呼びます。

銀行の貸出行動を捉える

銀行の最も基本的な業務は、貸出です。これが金融仲介サービスに当たります。家計から預金を集め、それを企業に貸し出します。預金金利は相対的に低く、貸出金利は高いので、その差が銀行の儲けの源泉となります。

預金サービス

家計が銀行に預けて利子を受け取るサービスが貸し手側FISIMです。このサービスを計算するため、銀行が無かった場合という仮想的な状態を考えます。

銀行が無かったとしたら、家計は余ったお金を企業に直接貸して、利子をもらうことになります。直接貸せばもっと高い利子をもらえるかもしれませんが、その貸出相手を探すのは手間や費用がかかります。このため、利子は多少低くても銀行に預けることにするわけです。

このため、預金サービスは、銀行が無かったと想定した場合の利子と預金金利の差に預金額をかけたものということになります。

貸出サービス

企業は、金融機関の借り手側FISIMを利用して資金を調達します。

企業の場合も、銀行が無い状態を考えます。直接貸し手を探せばもっと安い金利で資金を借りられるかもしれませんが、探す手間や費用がかかるので、銀行の貸出サービスを使うと考えます。相手を探すコストを節約するために、高い利子を払うということです。

貸出サービスは、銀行が無かった場合の利子と貸出金利の差に貸出額をかけたものということになります。

このサービスは企業の中間消費として計上されます。FISIMの導入で企業の産出が増えるわけではないので、中間消費が増えた分、付加価値は減ることになります。

企業会計との関係

企業会計では、利子の支払いは営業外費用に含まれます。つまり、営業外費用を引き去る前の利益である営業利益にはFISIMが含まれます。

一方、国民経済計算の概念である営業余剰はFISIMを含みません。営業利益から営業余剰を推計する際にはFISIM分を控除する必要があります。

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