新型コロナウイルス感染拡大下で、東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドの株価がどのように動いたかを解説します。
感染拡大当初は、新規感染者数と株価が連動していましたが、最近は連動が薄れています。新型コロナウイルスによる行動制限が終わりに近づいていることを表しています。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
概観
下のグラフはオリエンタルランドの株価と新型コロナウイルスの新規陽性者数の動きです。
2023年まで新型コロナウイルスの感染拡大の波は第1波から第8波までありました。
オリエンタルランドの株価は、新型コロナウイルス感染拡大前は15000円程度でしたが、現在は2万1000円程度です。長期の休園や赤字決算などがありましたが、それを超える将来の利益が期待されているということでしょう。
感染拡大当初(第1波)
2020年初の感染拡大当初は、新型コロナウイルスの正体がわからなかったので、社会的な不安の広がりを主因に降りエンタランドの株価は下落しました。2020年1月26日には7%安くなっています。2020年2月28日、オリエンタルランドは2月29日から3月15日まで2週間の臨時休園を発表し、株価は下落しました。その後、断続的に休業延長を発表し、結局6月30日まで休園期間を延長します。史上最長の4ヵ月間の休園でした。
しかし、休園中に株価が下落し続けたわけではなく、新規感染者が減少したことや、根強いディズニーランドへの期待感から3月末から5月にかけては株価は上昇しました。
しかし、4月7日に発令された緊急事態宣言が、5月25日に解除されると、感染拡大が懸念され、株価は下落基調となりました。
休園解除後(第2波)
2020年7月1日のディズニーシーの再開直後は、感染者が拡大しており、それを反映して株価が下落気味でしたが、その後新規感染者が減り始めてからは、株価は上昇基調に転じました。
新規感染者と連動する株価(第3波、第4波、第5波)
その後、株価が大きく下がったのは、感染者の拡大に伴って、12月24日のGoToトラベルの停止の発表でした。その後2021年1月7日には、緊急事態宣言が1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)に発令されて下落トレンドが続きます。
その後株価が上昇に転じたのは、感染者が減少したことやワクチン接種が開始したためです。緊急事態宣言は3月21日に解除されました。
しかし、その後感染拡大の第4波で新規感染者が増え、千葉県は、2021年4月20日からまん延防止等重点措置の対象となったため、下落基調が続きます。
2021年5月、感染者がピークを打って、株価が上昇に転じました。
第5波で感染者が増え始めて、再び株価は下落します。ただ、第5波では、新規感染者がピークを打つ前に株価は上昇に転じました。
8月2日にまん延防止等重点措置から緊急事態宣言へと強化されました。
感染者との連動が薄れる(第6波、第7波、第8波)
2022年に入って第6波がピークを迎えます。1月9日から3月21日までまん延防止等重点措置が適用されます。
2022年には、感染者が減少しているのにも関わらず、株価が大きく下落しました。これは、4月27日の決算発表会で「中期計画」について、入園者数の上限を引き下げることを発表したためです。入園者が減れば、売上高が減るという連想から、下落しました。
一方で、ファストパスの有料版である「ディズニー・プレミアアクセス」を導入することを評価して、5月16日に株価が急上昇しました。
第7波では、感染者が急増しているのにも関わらず株価が上昇し、感染者が減っても、株価の水準がかわらない状態になりました。2022年7月に株価が上昇したのは、入園チケットの値上げの発表でした。客単価が上がることから、株価は上昇しました。
第8波では、感染者の減少とともに株価が急増しました。新型コロナウイルスが5類相当になるなど、出口が見えてきたことが原因だと考えられます。開園状況が通常にもどることで、利益の回復が見込まれるためです。
まとめ
- 新型コロナウイルス感染拡大後のオリエンタルランドの株価を調べました
- 基本的には株価は上昇しています。中長期的な成長期待が背景にあります。
- 第1波から第6波までは新規感染者数と株価が連動していました
- しかし、その後は感染者数と株価の連動性が薄れました
- オリエンタルランドの価格戦略の方が重視されるようになっています