米国は景気後退に陥るのか
米国では、消費者物価指数の上昇に伴い、その勢いを落とすために利上げが続いている。2022年9月の個人消費支出デフレーターは前年比6.2%上昇した。FRB(米連邦準備理事会)による利上げは続いていおり、11月3日以降の誘導水準は3.75%から4%となっている。CMEのFedWatchツールによると、1年後の予想平均は4.5%から4.75%で、まだ上昇する見込みである。
利上げは、インフレの沈静化に効果がある一方、景気が後退する確率が増える。今年から来年にかけて、米国の景気は後退するのだろうか。
日本経済研究センターのESPフォーキャスト2022年11月調査によると、予測機関の見通し平均の2022年の米国の実質GDP成長率は1.8%の見込みだが、2023年は0.7%と減速する見込みだ。過去の成長率の平均からはかなり低水準だ。
こうした見通しからは、米国は景気後退に陥ってもおかしくはない。物価の上昇→実質所得の低下→消費の低迷という経路である。実質所得は前年比ゼロ%まで減っており、消費者態度指数も低下傾向だ。今後この傾向が顕著になれば、景気後退が現実のものとなる。
景気後退に陥らない可能性があるとすると、企業部門の立ち直りだろう。生産指数は緩やかに上昇しており、輸出も増加傾向だ。設備投資が増えれば、消費の落ち込みを抑えることができるかもしれない。そのためには、中国をはじめとした世界経済が成長を続けることが前提となる。 (オフィス海水浴CEO)
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