たとえば、研修の効果があるかどうかを調べるために、行う検定です。
研修を受けたグループの研修前後の成績の差と、研修を受けなかったグループの研修前後の成績の差を使って、平均値の差の検定を行います。
研修前後の成績の差について差の検定を行うため「差の差の検定」と呼ばれます。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
研修の成果を確認
研修の成果を確認する方法として、研修前の点数と研修後の点数を比べる方法があります。平均値の差の検定(対応がある場合)で調べられます。以下の記事を参考にして下さい。
しかし、研修前と研修後では、研修の有無にかかわらず、実務経験が積み重ねられて点数が伸びる可能性もあります。
厳密に研修の成果を調べるためには、研修に参加した人と研修に参加しなかった人の成績が異なることを示す必要がありあす。
これを調べるためには「差の差の検定」を実行する必要があります。「研修前後の差」の差をとる検定です。
平均値の差の検定に帰着
差の差の検定を行うには、まず、研修前後の差を計算します。研修に参加したグループの研修前後の差の平均は0.9点、研修に不参加のグループの平均はマイナス0.5点になっています。研修に参加したグループは点数が上がっている一方で、研修に参加しなかったグループは点数が下がっているので、直感的には研修に効果がありそうです。しかし、この差が偶然なのか有意に差があるのかを統計学的に示すことが重要です。
そのために、平均値に有意に差があるかどうかを調べます。
調べ方は、分散が等しくないことを仮定した平均値の検定になります。
平均値の差の検定
研修の前後の差について、平均値の差の検定を行います。
エクセルで行う場合は、分析ツールの中の「t検定:分散が等しくないと仮定した2標本による検定」を選らびます。
変数1、変数2に、研修を受けたグループと研修を受けなかったグループについて、研修前後の差を入れます。二標本平均値の差は0、ラベルにチェックを入れ、有意水準は0.05とします。
「平均の差がゼロである」という帰無仮説を前提にしたt値は2.23でした。一方で有意水準5%の場合のt値は2.10で、それより大きいため、帰無仮説を棄却できる結果となりました。つまり、研修の効果はあったということが、統計的に確かめられたとういうことです。
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