経済統計の使い方
統計初心者の社会人向けに、経済データの解説をしています。「まとめページ」をご覧くだされば、全体的な内容がわかると思います。
経済指標ベスト3

【経済統計】住宅投資をみるために必要な統計ベスト3|着工戸数、マンション販売額、工事費予定額

さくら

住宅投資は身近な統計ですね。

かえで

意外に変化の大きい統計です。

家計の一番大きな買い物は家を買うことでしょう。通常の消費と違って、ローンで買う場合が多いので金利の影響が大きいです。

金利が上昇すると景気が悪くなる場合が多いので、景気に関しては消費よりも先行して動きます。

また、家を建てると、エアコンやテレビ、冷蔵庫など耐久消費財を新たに買う場合が多いため、消費を誘発する効果もあります。

経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。

【経済統計】経済統計一覧 経済指標を分野ごとにまとめています。 経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。 1.経済統計...

金利の影響が大きい

GDPに占める住宅投資の比率は3-5%でそれほど大きくありませんが、消費に比べ増減が激しく、景気に与える影響は小さくありません。

住宅は金額が大きいため、ローンで買う人が多いです。このため、金利の影響を受けやすいのが特徴です。

また、住宅投資減税など財政政策によっても増減します。住宅投資減税は、住宅を建てた人の所得税を安くする制度です。住宅投資は金額が大きいので、減税額も大きくなり、減税が行われると住宅投資が促進されます。

住宅着工統計

GDPの住宅投資は四半期データですが、足元の動向を見るには、国土交通省の発表する住宅着工統計が有用です。

建築着工統計調査の一部です。建築着工統計調査は、住宅も含めたすべての建物の着工や工事費を調べたものですが、その一部として住宅着工統計調査があります。

資料は非常にわかりにくいところにあります。国土交通省>白書・オープンデータ>統計情報のページに、「建築・住宅」という分野があります。

そのページの一番上にある建築着工統計調査(月報)公表資料をクリックします。最新データの概要は、左下にある、添付資料記者発表資料〇月分をみるとよいでしょう。

さまざまなデータが発表されていますが、最も重要なのが、新設住宅着工戸数です。経済統計は、価格の動向を除いた実質ベースで見るのが基本ですが、住宅統計については、住宅着工戸数をみることがこれに当たります。ただ、同じ1戸でも、大きな家と小さな家では投資額が違います。その点では、新設住宅着工床面積を見るのも良いでしょう。

細かい内訳を見る場合は、住宅の利用法によって、持ち家貸家分譲給与住宅の4つに分けてデータをみます。持ち家は、自分自身が住むために建てるもの、貸家は、他の人に貸すために建てるものです。分譲は、本人が建てるのではなく、まず住宅会社が建てて、その後売りに出すものです。マンションなどがこれに当たります。給与住宅という言葉はわかりにくいですが、公務員住宅などの集合住宅です。

「月例経済報告」主要経済指標より

マンション販売統計

このほかの統計では、不動産経済研究所が発表するマンション販売統計があります。月例経済報告では、首都圏のマンション総販売戸数がグラフで表示されています。

首都圏と近畿圏のマンションの販売動向がわかるほか、販売単価や契約率などもわかり、マンションを購入する際にも役立ちそうです。

「月例経済報告」主要経済指標より

1平米当たりの工事費予定額

住宅はマンションや一戸建て、貸家などがあって、1棟当たりの価格はまちまちです。そこで、時系列的に比較するには1平米当たりの費用が重要になります。

月例経済報告には、1平米当たりの工事費予定額も報告されており、建築物に関する価格動向がわかります。家を建てる場合のコストを表していて、値段が上がれば住宅着工を抑制する方向に働きます。

工事費予定額は、個人事業主なども想定して、「居住専用+居住産業併用×0.7」についての計算しています。それを着工床面積で割って求めています。

0.7がなぜ必要なのかについての記述はなく、よくわかりません。

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