購買力平価は、物価の比を用いて、為替レートを計算するものです。両国で同じ質のものの比べる必要があることから、マクドナルドのビックマックの値段を比べたビッグマック平価が有名です。この記事では、ディズニーランドの入園価格を比較したディズニーランド平価について調べてみます。
経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。
ビッグマック平価については以下の記事を参考にしてください。
ディズニーランド平価の推移
ディズニーランド平価を計算するには東京ディズニーランドの1dayチケット(パスポート)とそれに対応する米国のディズニーランド入園料の価格を調べる必要があります。
米国のディズニー・テーマパークで東京ディズニーランドに最も近いのはウォルトディズニーワールドのマジックキングダムでしょう。パークのシンボルは同じシンデレラ城です。そもそも東京ディズニーランドはマジックキングダムを参考にして作られています。
2021年3月のダイナミックプライシング導入まで、東京ディズニーランドの価格は単一価格でわかりやすかったです。米国のマジックキングダムの価格については、ALLEarsというサイトに、WDW Ticket Historyがあり、2020年までの価格の推移がかなり詳しくわかりました。
山澤成康「ディズニーで学ぶ経済学」では、これを使って、ディズニーランド平価を計算しました。2020年まで延長したのが、以下のグラフです。
購買力平価は、東京ディズニーランドのチケット価格をフロリダのマジックキングダムのチケットの価格で割って作っています。例えば、2020年度に関しては8200円÷125ドルです。1ドル=65.6円となります。実際の為替レート(1ドル=106円30銭)よりかなり円高ですね。
$ ディズニーランド平価=\dfrac{8200円}{125ドル}=65.6円/ドル $
実際の為替レートと購買力平価がかい離しているということは、内外価格差が生じているということです。マジックキングダムの価格を円建てにすればわかります。125ドル*106円30銭(円/ドル)ということなので、13286円ということになります。2010年度や2021年度は内外価格差はほとんどなかったですが、その後内外価格差がかなり広がったことがわかります。
ダイナミックプライシングの導入
2021年3月、東京ディズニーランドは繁閑の差によって、価格を変えるダイナミックプライシングを導入しました。これによって、購買力平価を計算するのが難しくなりました。価格の幅ができたため、代表的な価格を決めなければならなくなりました。
フロリダのマジックキングダムの方はもっと複雑になっています。日本よりも早くダイナミックプライシングを導入していたうえに、2022年12月から4つのテーマパーク(マジックキングダム、エプコット、ハリウッドスタジオ、アニマルキングダム)ごとに値段に差つけるようになり、マジックキングダムの価格を調べるのが難しくなりました。
すべての価格を調べて、それぞれの価格比を検討するのが理想的ですが、それだけの情報を集めるのは困難なため、手始めに2023年2月2日(木)についてだけ見ていきます。
本当はいつを選ぶのかも重要です。祝日は日米によって違いますし、日本では卒業シーズンの3月に入園者が増えますが、米国では違うでしょう。
2月2日は特に行事のない平日ということで比較的環境は似ているのではないでしょうか。
東京ディズニーランド
まず東京ディズニーランドのチケットについて調べます。東京ディズニーランドのチケットサイトによると、東京ディズニーランドのチケットは、7900円だということがわかります。
マジックキングダム
フロリダにあるウォルトディズニーワールドのマジックキングダムのチケットを調べるには、ウォルトディズニーワールドのサイトで、テーマパークチケットを選びます。
そこには、1-dayチケットは、109ドル~189ドルの範囲にあることが示されています。東京ディズニーランド(7900円~9400円)よりかなり幅が大きいです。
「contineue」をクリックすると、カレンダーが表示されます。日ごとの最低価格が表示されています。2月2日は139ドルです。
その後日にちを選ぶと、パークごとのチケットの値段がわかります。
最低価格として表示されていたのは、アニマルキングダムの価格でした。マジックキングダムは159ドルということがわかります。
日本円にすると2万円超
2023年2月2日のディズニーランド平価を計算すると、7900円÷159ドル=49.7円です!為替レートは1ドル=128円ですので、かなり開きがあります。マジックキングダムの入園料は円建てでは、20352円になります。
$ ディズニーランド平価=\dfrac{7900円}{159ドル}=49.7円/ドル $
米国の物価高の影響が反映された結果となりました。この差はいずれ縮まると思います。円高によって調整される可能性もありますが、為替市場の動向は予測が難しいです。物価以外の要因にも左右されるためです。円安に振れる可能性すらあります。
入園料の価格で調整されるとしたら、米国の物価の伸び率が鈍化することはあっても、下落する可能性は低いため、東京ディズニーランドの入園料の値上げという方向で、価格のかい離が縮小されるのではないかと思います。値上げは仕方ないかもしれませんが、それとともに賃金も上がってほしいものです。
まとめ
ディズニーランドの入園料を比べることで、購買力平価を計算しました。
日米ともダイナミックプライシング制度を導入したことで、価格を比べるのが難しくなっています。
2023年2月2日のピンポイントの価格を比べると、1ドル=49.7円となりました。円建てにすると20352円です。
この差が縮まる方向性としては、東京ディズニーランドの値上げという可能性が高いです。
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