- ミクロ経済学
- iPhoneアプリやiPhoneケースはiPhoneという売上が好調・安定な他の企業の商品の完全補完財となることを目指している商品といえるでしょうか。
- 予算が変わらない場合、一方の財の価格が上昇した際に、その財が好みのため消費し続ける選択をすると、他の財を消費する選択をした場合よりも効用が小さくなるということですか。
- 以前、ギッフェン財の例で昔のジャガイモの例を聞いたことがあるのですが、かなり特殊な状況な気がします。ギッフェン財は現代社会にも存在するのでしょうか。
- 最適消費点の導出は曲線と直線を用いる線形計画法によるものとみてよろしいでしょうか。
- 効用最大化の標準的な導出
- 代替財の種類が少ない財ほど需要量が価格変化による影響を受けにくいでしょうか
- ミニマリストの無差別曲線がどうなるか気になった。またミニマリストは経済学でどう扱われるのか興味がわいた。
- 価格が上がると需要が減るという印象がありましたが、実は価格上昇による所得効果で、下級財は逆に需要が増えるという点が意外でした。年金の支出額は所得、物価水準の変動による調整が行われているようですが、行政活動のため、実質的な所得の効果とは関係はないのでしょうか。
- 完全に機械化された産業がある場合、限界費用曲線・平均費用曲線はほぼ直線になるのですか。
- ソフトウェア産業やSNSなどのプラットフォームビジネスは変動費に対して固定費が大きい産業といえるでしょうか。また、これらの産業は製造業と比較して固定費が比較的小さく利益を出しやすい産業でしょうか。
- 限界生産力は逓減するとのことですが、マイナスになることは理論上あり得るのでしょうか?イタリアンの例でいうと、シェフが多すぎるとキッチンが小さすぎて効率が下がりすぎマイナスにもなりえるような気もします。
- 利潤がなくなるまで新規企業は参入してくるとのことでしたが、実際には利潤がなくなる直前で企業の参入はなくなるのではと感じました。自社が参入することによって、自社も含めて利潤がゼロになってしまうのであれば、参入するメリットがないと判断しそうだなと感じたためです。
- 収穫逓増産業の例が動画でも挙げられていましたが、収穫逓増の場合、限界費用は逓減するので、理論上無限に生産するのがよいということになるのでしょうか。実際には、永遠に収穫逓増するわけではなく、どこかのタイミングで逓減が始まるのでしょうか。
- 限界収入、限界費用、平均費用の関係について、利潤がある限り新たな企業が参入することになっていますが、参入すればするほど市場価格が下がるので、突然参入がなくなるというより、徐々に参入(競争)が穏やかになるものなのでしょうか。
- 多額の固定費を要する産業の場合、市場価格が利潤がなくなるまで下がりきっていなくても、固定費の高さから参入が難しく、市場価格が下がらない場合はあるでしょうか。
ミクロ経済学
iPhoneアプリやiPhoneケースはiPhoneという売上が好調・安定な他の企業の商品の完全補完財となることを目指している商品といえるでしょうか。
ケースやアプリのメーカーは完全補完財が望ましいと考えている目指していると思いますが、実際にはケースを持たない人やアプリを使わない人もいるので、完全ではないと思います。
予算が変わらない場合、一方の財の価格が上昇した際に、その財が好みのため消費し続ける選択をすると、他の財を消費する選択をした場合よりも効用が小さくなるということですか。
所得効果の説明としては以下です。2000円の予算があって、400円の弁当が500円に値上がりすると、これまで5個買えていたものが4個しか買えなくなります。こうした実質的な購買力の低下を実質所得の低下と考えます。実質所得の低下に対して、需要を増やすかどうかが所得効果になります。
以前、ギッフェン財の例で昔のジャガイモの例を聞いたことがあるのですが、かなり特殊な状況な気がします。ギッフェン財は現代社会にも存在するのでしょうか。
「値上がりして需要が増える」ものということで、貧しい状況でそれ以上安いものがないので、値上がりしたものを食べざるを得ない、という例としてアイルランド飢饉のジャガイモがよく取り上げられます。
日本の焼酎がギッフェン財だという研究があるようです。
Shmuel Baruch & Yakar Kannai (2001)
“Inferior Goods, Giffen Goods, and Shochu,” in Economics Essays: A Festschrift for Werner Hildenbrand, eds. Gérard Debreu, Wolfgang Neuefeind, and Walter Trockel, Springer, pp. 9–17. DOI: 10.1007/978-3-662-04623-4_3
https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-662-04623-4_3
焼酎の値段が上がると、さらに安い代替財はないので、これまで飲んでいた日本酒などの購入を控えて、焼酎をさらに買うというものだと思います。ただ、実証的に研究されているわけではないようです。
最適消費点の導出は曲線と直線を用いる線形計画法によるものとみてよろしいでしょうか。
経済学の標準的な考え方では、効用関数と予算制約線を使って、効用最大化問題を解きます。解く際にはラグランジェ乗数法を使います。
効用最大化の標準的な導出
2財 (x, y) を考える。
効用関数: U(x,y)
価格: px, py
所得: M
予算制約: pxx + pyy = M
ラグランジュ関数
L = U(x,y) + λ(M – pxx – pyy)
一階条件 (FOC)
∂L/∂x = ∂U/∂x – λpx = 0
∂L/∂y = ∂U/∂y – λpy = 0
∂L/∂λ = M – pxx – pyy = 0
最適条件
MUx / MUy = px / py
(MRS = 価格比)
代替財の種類が少ない財ほど需要量が価格変化による影響を受けにくいでしょうか
そうですね。その傾向があると思います。水などの必需品は代替する財があまりないので、価格が変化しても買わざるを得ないです。需要の価格弾力性が低い財になります。
ミニマリストの無差別曲線がどうなるか気になった。またミニマリストは経済学でどう扱われるのか興味がわいた。
ミニマリストをどう定義するかによりますが、通常はものを購入すればするほど効用がたかまりますが、ある程度以上購入すると効用が下がると考えると同心円状になると思います。同心円の中心がベストな財の組み合わせで、それよりも財が増えても減っても、効用が下がるという形です。

ミニマリストの研究は、マーケティング、消費者心理の世界ではあるようです。
ミニマリスト消費(所有物の少なさ・簡素な美意識・選択的な消費)を定義し、12項目の尺度(Minimalist Consumer Scale)を構築し。ミニマリスト消費と関連する心理的特徴(節約性、素材主義 etc.)との関係を実証分析したものです。
価格が上がると需要が減るという印象がありましたが、実は価格上昇による所得効果で、下級財は逆に需要が増えるという点が意外でした。年金の支出額は所得、物価水準の変動による調整が行われているようですが、行政活動のため、実質的な所得の効果とは関係はないのでしょうか。
経済学では、限られた予算をどう使うか、という風に考えるので、勤労所得でも年金による所得でも同じ所得として扱うと思います。
完全に機械化された産業がある場合、限界費用曲線・平均費用曲線はほぼ直線になるのですか。
限界費用曲線が逓増しないケースは、ある程度は考えられます。ただ、いずれば増加するのではないかと思います。SNSなどの産業でも、会員数が増えすぎれば、コンピュータなどの設備が必要になります。
固定費があれば、平均費用は、徐々に減っていくと思います。図は、固定費が1万円、限界費用ゼロの場合の平均費用の動きです。

ソフトウェア産業やSNSなどのプラットフォームビジネスは変動費に対して固定費が大きい産業といえるでしょうか。また、これらの産業は製造業と比較して固定費が比較的小さく利益を出しやすい産業でしょうか。
プラットフォームビジネスは、固定費が大きい産業だと思います。サーバーなどの設備も大規模になると思いますし、研究開発費も相当かかりそうです。製造業と比べるとどうかは、業種などで違うと思います。
プラットフォームビジネスは、限界費用は小さいのではないかと思います。ある程度までは限界費用が小さく抑えられると思います。
限界生産力は逓減するとのことですが、マイナスになることは理論上あり得るのでしょうか?イタリアンの例でいうと、シェフが多すぎるとキッチンが小さすぎて効率が下がりすぎマイナスにもなりえるような気もします。
マイナスになる場合もあります。ChatGPTによる解答です。
農業(過密栽培)
水田に苗を過剰に植えすぎると、栄養や日照を奪い合い、全体の収穫量が減る。
工場ライン(過剰労働投入)
狭い生産ラインに労働者を増やしすぎると、互いにぶつかり合い効率が低下し、生産量がかえって減少する。
飲食店の厨房
小さなキッチンにスタッフを詰め込みすぎると、動線が重なり作業効率が悪化、注文処理数が減る。
ITシステム開発(人員過多)
ソフトウェア開発で人員を過剰に投入すると、調整コスト・コミュニケーションコストが増え、進捗が遅れる(ブルックスの法則)。
研究プロジェクト
会議に参加する人が多すぎると意見がまとまらず、意思決定が遅れ、進行がむしろ遅れる。
教育(過剰な宿題や授業時間)
学習時間を増やしすぎると、疲労や集中力低下で学習成果が落ちる。
利潤がなくなるまで新規企業は参入してくるとのことでしたが、実際には利潤がなくなる直前で企業の参入はなくなるのではと感じました。自社が参入することによって、自社も含めて利潤がゼロになってしまうのであれば、参入するメリットがないと判断しそうだなと感じたためです。
確かにそうです。本当は「利潤」と「利益」を違う形で話をした方がよいです。会計学上の利益を利益、経済学上の利益を利潤と呼ぶことがあります。
わざわざ新規参入の図で利潤としたのは、利潤がゼロの水準でもある程度利益は出ていることを示したためです。
利益がゼロなら儲からないので、誰も企業活動をしません。だから、企業活動を続けたいと思う最低限の利益は出ていると考えます。
利潤がゼロというのは、利益がゼロと言う意味ではなく、「これだけは稼ぎたい」という利益を含んだものと考えます。
利潤=利益ー最低限企業活動をしたいと思う金額
利潤=0の時:利益=最低限企業活動をしたいと思う金額
さらに、会計上の利益=利益、経済学上の利益=会計上の利益ー機会費用と表すこともできます。経済学では機会費用も費用として考慮します。
現在の事業をせずに、ほかの事業を行った時に得られる平均的な利益(機会費用)を考慮したと考えることもできます。
利潤=収入ー費用ー機会費用
ということです。利潤がゼロということは、収入ー費用(利益)が機会費用と等しいということです。ほかの事業やったことで得られる利益と同程度の利益を上げている水準(最低限の利益)をあげている必要があるということです。
収穫逓増産業の例が動画でも挙げられていましたが、収穫逓増の場合、限界費用は逓減するので、理論上無限に生産するのがよいということになるのでしょうか。実際には、永遠に収穫逓増するわけではなく、どこかのタイミングで逓減が始まるのでしょうか。
限界費用が逓減すれば、理論上無限に生産するというのは正しいです。
実際には、どこかで生産力が逓減すると思います。物理的制約や技術的制約があるためです。たとえば、SNSなどでも、ユーザー数が少ない間は限界費用はゼロですが、ユーザー数が増えすぎるとコンピューターに負荷がかかるため、新たなコンピューターを買ったりしなくてはならないし、ユーザーの管理にもコストがかかります。
限界収入、限界費用、平均費用の関係について、利潤がある限り新たな企業が参入することになっていますが、参入すればするほど市場価格が下がるので、突然参入がなくなるというより、徐々に参入(競争)が穏やかになるものなのでしょうか。
そうですね。利潤が多ければ参入する企業も多いので、徐々に参入スピードが落ちると思います。
多額の固定費を要する産業の場合、市場価格が利潤がなくなるまで下がりきっていなくても、固定費の高さから参入が難しく、市場価格が下がらない場合はあるでしょうか。
固定費が高い場合は、それが参入障壁になって、新規参入できない場合がありますね。鉄道、電力やガスなどの場合です。
