経済統計の使い方
統計初心者の社会人向けに、経済データの解説をしています。「まとめページ」をご覧くだされば、全体的な内容がわかると思います。
経済指標ベスト3

【経済統計】物価統計をみるために必要な統計ベスト3|CPI,CGPI,CSPI

月例経済報告・主要経済指標の物価について、主要な3つの物価指数を紹介します。

物価は、モノの流れと同じく、輸入物価企業物価消費者物価という順に波及していきます。まずは、輸入物価や為替レートの動きを見ます。次に、それらが国内物価に波及していく状況をチェックします。

一方で、輸入物価とは関係なく、景気が過熱すると物価は上がりますので、その兆候があるかどうかを、消費者物価コアCPI(生鮮食品を除く総合)などでチェックします。

経済統計の使い方では、経済統計の入手法から分析法まで解説しています。

【経済統計】経済統計一覧 経済指標を分野ごとにまとめています。 経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。 1.経済統計...

月次で発表される物価指数は大きく3つあります。消費者向けには消費者物価指数(CPI)があります。企業向けには、企業物価指数企業向けサービス価格指数の2つがあるので注意が必要です。


企業向け消費者向け
企業物価指数(CGPI)消費者物価指数(CPI)
サービス企業向けサービス価格指数(CSPI)
作成者日本銀行総務省

消費者物価指数はコアCPIをみる

消費者物価は、さまざまな財、サービスから構成されています。まずは、総合指数で全体の動きをみます。日本銀行は「インフレ率の目標を2%」としていますが、それは、総合指数の前年同期比で測ります。

景気と関係なく動く代表的なものは、生鮮食品エネルギーです。生鮮食品の価格は景気動向よりも、気温や日照時間など天候の影響を大きく受けます。エネルギー価格も国際的な需給動向に左右されます。

このため、景気動向との関係をみるには、生鮮食品を除いたコアCPI酒類を除く食料エネルギーを除いたコアコアCPIの上昇率を見ることが重要になります。

企業物価指数ー価格の波及が段階を追って把握できる

企業物価指数は企業がやり取りする財に関する価格情報です。国内企業物価指数のほか、輸入物価指数、輸出物価指数があります。略称はCGPI(Corporate Goods Price Index )です。財に関する物価情報のみで、サービスに関しては企業向けサービス価格指数があります。

月例経済報告の主要経済指標には、企業物価指数の内訳である国内企業物価、輸出物価、輸入物価が載っています。消費者物価指数に比べて大きく動く傾向にあります。

企業物価には基本的に季節性はないので、原数値で、前年同月比や前月比の動きを見ます。

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価格波及の様子がわかる

加工貿易中心の日本では、原材料を輸入して国内で加工して製品を輸出するという流れになります。物価の流れもこれに沿ったものになります。国内でいえば、素原材料→中間財→最終財という順ですが、それぞれの企業価格指数があるので、波及の程度がわかります。また、最終財の中の消費財は、消費者が受け取る財の値段なので、消費者物価指数に影響を与えるものになります。

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夏季電力料金調整後を使用

電力会社は夏季の電力需要を減らすために、7-9月期の電力料金に割り増し料金を設定しています。このため、前月比のデータをみると、7月に前月比で上昇し、10月に同下落します。これは一種の季節性なので、この影響を除いたデータをみる必要があります。

輸出入物価指数と契約通貨

輸出入物価指数は、円ベースとともに、契約通貨ベースでも発表されています。契約通貨ベースとは、取引する際の通貨で主にドルになります。原油価格はドル建てで契約することから、契約通貨ベースの価格がまず決まり、それに為替レートを掛けたものが円ベースとなります。

$ 契約通貨ベース輸入価格→円ベース輸入価格→国内企業物価 $

という影響があります。輸出品の場合も、

$ 国内企業物価→円ベース輸出価格→契約通貨ベース輸出価格 $

という順に波及していくことになります。



ラスパイレス指数で算出

企業向け物価指数は、消費者物価指数と同じように、ラスパイレス指数です。ラスパイレス指数については物価指数ーなぜGDPデフレーターはパーシェ指数なのかをご覧ください。

企業向けサービス価格指数

企業に関する物価は財とサービスにわかれます。財に関する物価は、国内企業物価、サービスに関する物価は企業向けサービス価格です。企業向けサービス価格は人件費のウエートが大きいため、賃金の動きのように緩慢です。

日本のサービス価格は上がりにくいですが、企業向けサービス価格が上がり始めれば、賃金も上昇しているということでよい兆しということになります。

連鎖式と固定式

月例経済報告には連鎖基準と固定基準が載っていますが、基本的には連鎖式を見ればいいです。固定基準はある基準年を中心に計算された指数ですが、消費者物価のようなラスパイレス基準で計算された指数は基準年から離れれば離れるほど高めにでます。

これを解決するために作ったのが連鎖基準なので、連鎖基準をみればよいということになります。

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