【GDP】分配GDP｜未だに四半期系列は公表されていない

GDPの四半期統計について、多くの国では支出面だけでなく、生産面、分配面から公表されています。内閣府は、生産面の四半期系列を発表するようになりましたが、分配面のＧＤＰについてはなかなか公表に至りません。

精度が低いというのが理由ですが、基礎統計が飛躍的に改善されない限り、格段に精度が良くなる可能性は低いです。それよりは、どの程度の改定される可能性があるのかを明らかにしつつ、発表する方が良いのではないかと思います。

研究は積み重ねているのに公表しないということは、これまで長年の研究の積み重ねがあるのに、それを無駄にすることにもつながります。

早期に発表して、公表しながら改善していく方が、情報の開示方法としてはよいと思います。

経済統計の使い方では、統計データの入手法から分析法まで解説しています。

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2011年から試算

分配側ＱＮＡは、企業収益や雇用者報酬などＧＤＰを分配面からとらえて、四半期ごとに算出するものです。内閣府がかなり以前から取り組んでいる課題であり、2011年の季刊国民経済計算にはその試作版が載っており（山本　2011）、2014年にも新たな試算を行っています（高田ほか　2014）。

推計項目のうち、雇用者報酬の四半期化は進められてすでに公表してます。可処分所得も公表されるようになりました。しかし、営業余剰などを含むＧＤＰ全体としては発表されていなません。

第15回国民経済計算体系的整備部会（2019年4月11日）に内閣府が提出した資料によると、試算した分配側ＱＮＡと支出側ＱＮＡの速報値部分でのかい離の大きさを問題視しているようです。

生産側ＱＮＡは、使用統計としては支出側ＱＮＡとそれほど変わらないため、新たな情報の追加はありません。しかし、分配側ＱＮＡは支出側ＱＮＡとは違うアプローチで作成されており、支出側ＱＮＡが持っていない情報を持っている可能性があり、景気の現状判断に役立つ可能性があります。

日付	回数	提出資料	内容
2018/7/12	11	平成29年度統計法施行状況－国民経済計算関連の取組－（生産面・分配面四半期別GDP速報等の検討状況）	取組み状況を年明けに報告
2019/2/19	14	生産側及び分配側QNAの試算結果等	試算結果の発表
2019/4/11	15	家計可処分所得・家計貯蓄率の四半期速報及び生産側・分配側QNAについて	検討課題の発表
2019/6/14	16	生産側・分配側QNAの今後の進め方について	スケジュールの発表。2019年1－3月期に課題の論点整理
2019/10/25	18	分配側QNAの試算概要
2020/3/17	20	生産・支出・分配の三面の整合性に関する研究会について
2020/7/3	23	生産・支出・分配の三面の整合性に関する研究会について
2020/11/19	24	三面の整合性に関する研究会（中間報告（１））
2021/2/４-202１/2/22	25	三面の整合性に関する研究会（中間報告（２））
2021/3/19	26	三面の整合性に関する研究会（中間報告（３））
2021/4/16	27	生産・支出・分配の三面の整合性に関する研究会における検討結果の報告
2021/7/16	28	分配面の四半期GDP速報に関する検討分配面の四半期GDP速報に関する前回の審議結果等分配QNAの方向性について分配側推計の今後の取り組み方針について	議事概要
2021/9/24	29	分配面の四半期GDP速報に関する検討分配側推計の今後の取り組み方針について	議事概要
2022/6/14		企画部会　令和4年度ワーキンググループ会合（基本計画改定に係るWG)第1ワーキンググループ会合（第1回）これまでの統計委員会の意見
2023/3/2	33	分配側系列の四半期速報（分配QNA）の検討状況について	議事概要