著作権は、文化活動を発展させるための知的所有権の一つです。一定の期間を定め、他の人が使う場合は著作者に許諾をとる必要があります。しかし、2次創作などを阻害する可能性もあるので、期限が設けられており、著作権が切れると、パブリックドメインとして、誰でも利用することができます。
ミッキーマウスの著作権が2023年いっぱいで切れます。来年からは2次創作が可能になります。
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著作権とは
著作権法第1条には、著作権とは、著作物、実演、レコード、放送などの著作者の権利としています。それを保護して文化の発展に寄与することが目的と書かれています。
著作権がなければ、創作物を作っても、勝手にコピーして使うことができ、誰も創作をしようとしなくなる可能性があります。このため、著作権は保護されます。
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権法
一方で、著作者が亡くなった後も、著作権が永遠に続くのも不自然です。いずれは人類共有の財産とするべきと考えられ、著作権には期限があります。
著作権の延長
米国の著作権はもともと50年でしたが、1995年に著作権延長法により、95年に延長されました。著作権延長法はそれを推進した上院議員の名前をとってソニー・ボノ法とも呼ばれています。ミッキーマウスの著作権が切れるのを回避するため、著作権が延長されたとも考えられており、「ミッキーマウス保護法」とも呼ばれます。
ミッキーマウスが主演した「蒸気船ウイリー」が初演されたのは1928年なので、本来なら1998年末に著作権が切れるはずでした。しかし、「ミッキーマウス保護法」により、2023年末に延長されたのです。2024年以降は誰でも使えるパブリックドメインになります。
ただ、使えるのは「蒸気船ウイリー」でのミッキーマウスで、最近のミッキーマウスではありません。また、ミッキーマウスには商標権が設定されているので、商業的に使うことはできません。
しかし、2次創作は可能になります。自分自身でミッキーマウスを使った物語を作っても良いことになります。
パブリックドメインを使った2次創作は、ディズニー自身も行っています。シンデレラや白雪姫、不思議の国のアリスなどです。くまのプーさんについては著作権を買いとって、ディズニー版クマのプーさんを作っています。
商標権は残る
ミッキーマウスを使って、ビジネスをするのは難しそうです。ミッキーマウスには商標権が設定されているからです。
商標権について、日本弁理士会のホームページには以下のように書かれています。
商標権とは、商品又はサービスについて使用する商標に対して与えられる独占排他権で、その効力は同一の商標・指定商品等だけでなく、類似する範囲にも及びます。
日本弁理士会ホームページ
商標として保護されるのは、文字、図形、記号の他、立体的形状や音等も含まれます。
権利の存続期間は10年ですが、存続期間は申請により更新することができます。
特許情報プラットフォームを使うと、商標が検索できます。ミッキーマウスで検索すると18種類の商標がでてきます。
このため、商品にミッキーマウスを描いて売ったり、ミッキーマウスを使って広告をするサことはできないと考えられます。
プーさんにはホラー映画も
クマのプーさんの著作権は、日本では2017年5月、米国では2021年末に切れました。このため、2次創作が可能になり、くまのプーさんのホラー映画「Winnie the Pooh: Blood and Honey」が話題になっています。2023年2月15日に米国などで公開される予定です。日本での公開は未定のようです。
実は、日本の方が早く著作権が切れています。2017年5月21日切れました。
日本 | 米国 | |
基準 | 作者死亡日から | 作品誕生から |
期間 | 1956年1月31日死亡。50年+10年5ヵ月(戦時加算) | 原作は1926年出版。95年が保護期間 |
解禁日 | 2017年5月21日 | 2022年1月1日解禁 |
このため、くまのプーさんは「パブリックドメイン」となり、新しい翻訳もでています。馴染みのあるくまのプーさんはこちらでしょう。
新たな訳はこちらです。
こちらは関係ないですが、好きです。